サザエさんの話書こうと思ったら表現の自由みたいな話題になってしまった

どうも今井です。

 

12/31から1/6まで実家でゴロゴロor友人と出かけた年末年始でした。

後半風邪引いて寝込んだのは完全に誤算でしたが、まぁ逆に考えれば仕事始まる前でよかった。ギリギリセーフで回復出来たのでよかったです。

 

寝込んでいる間、最近AmazonのPrime Videoで公開された放送初期のサザエさんを観て楽しんでいました。

磯野家含め全員テンションがシラフとは思えないくらい高く、アクションやストーリーは支離滅裂で、とりあえず暴力的かつ下品な展開が続くといういい感じの内容でした。今だったら絶対に地上波で放送出来ない。

特にマスオさんとワカメちゃんが迷い込んだ病院で看護師さんがいきなり「ハイルヒトラー!」と言い出し、実は精神病院だった…というくだりがヤバかったですね。念のため言っておきますが本当ですよ。

 

下品でヤバくて風刺的で笑えるコンテンツって、自分は大好きなんですが他の人にとってはそうでない事もあります。逆に、世間の大多数は好きらしいけど自分はどうにも苦手、そういうコンテンツもあります。まぁ好き好きということです。

 

好き好きで済めばいいのですが、そういえば最近は「表現の自由」という言葉を巡る議論をよく見かけます。こんなものは子供に見せるな、ここに展示するな、とかそういう話にとどまらず、こんな表現物は存在してはいけない、と唱える人も世の中には結構いるみたいです。

 

確かに、割と下品なコンテンツを好む自分から見ても思わず目を覆いたくなるような、ものすごい表現物もこの世にはありますからね。。

だけどそれでも、やはり自分は表現の自由は死守すべきものだと思っています。

 

表現物とかコンテンツというと、「あくまで楽しむためのもの」「商業的なもの」といった事を想像する人が多いと思います。

でも、人々は有史以来、それらがおそらくお金にはならない頃から絶えず表現を続けてきました。それこそ壁画を描いたり、その村独自の神話を作り出して何百年も語り継いだり…。権力者が示威のために作らせるという側面もあったでしょうが、根本的に人間は表現が好きなんでしょう。

 

思うに表現物というものは、私たち人類が認識したもの、理解したものを抽象化してアウトプット→インプットしたいという本能的な欲求を満たすために生まれたものなんじゃないでしょうか。そして、私たちは幼少の頃に昔話やおとぎ話の絵本からはじめたように、コンテンツによって人間や社会を理解している。コンテンツとは、人類による自己理解のアーカイブそのものなのです。大人になると自覚しにくいですが、私たちはコンテンツを通さないとこの世を理解しきれない。

それが親子の絆を表現した映画なのか、背徳的で暗い欲望を描いた絵画なのか、破壊的な衝動を歌った歌なのか、それは様々ですが内容はどうあれ人間の可能性を示す記録である事には変わりありません。

 

「こういう表現はあってもいい」「こういう表現はあっちゃだめ」と論じる人たちが、そういう観点でコンテンツを捉えているようにはあまり思えません。

例えば不倫という行いを法的に禁じることと、コンテンツに不倫を思わせる表現を含んではいけないとすることは根本的に意味が異なる行為です。

古今東西、人は時に不倫をするよね」「それは相手を傷つける悪いことだよね」「でも背徳的だからこそ耽美的に描かれたりもするよね」「一時期ドラマの影響で流行ったよね」こういった理解のアーカイブそのものを、人間社会から抹消する事が人類の前進だとはどうしても思えないのです。

 

表現を巡る議論は、あくまでその文脈やゾーニングといったミスコミュニケーションを減らす方向の議論とか、「実名で悪役として登場させた」といった名誉毀損の話とか、そういうのにとどまるべきでしょう。

「こんな表現が、許されていいわけありません!」はちょっと怖いです。

 

特に今大きな問題は、ゾーニングじゃないでしょうか。「ネットだけでひっそり公開」「深夜放送でひっそり放送」なんてもはや出来なくなりました。見たくない人が見つけて、見たくない人たちに向けて拡散して「これ不快ですよねえ!!」と議論しあってますからね。地獄です。

 

今では大いに問題のありそうな初期のサザエさんが、Prime Videoで公開された事がおおむね歓迎されているのは大きなヒントかも知れません。

昔の作品でもはや歴史的資料だから面白がられているのか、オンデマンドの配信サイトだから見たくない人は見なくて済んでいいのか、単に新しいプラットフォームだからノーチェックなだけで、いずれうるさく言われるようになるのか…。

今後も地味に動向をチェックすると面白いのかも知れません。

 

こんな事書こうとしてたんだっけ。長くなっちゃったけどまぁいいや。さあ仕事しよ。